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スティールウォッチ「わかる鉄と脱炭素」シリーズ
なぜ、鉄鋼は気候変動に大きな影響をもたらすのか?鉄鋼業界が実に世界のCO2排出量の11%も占めているのは、どうしてなのか?
鉄鋼の脱炭素化において、気候変動の観点から何が正しく、有益な情報なのかを理解するのは容易ではありません。生産工程でよく耳にする、高炉-転炉法、電炉、水素直接還元製鉄の違いとは?それぞれの生産方法から作られる鉄鋼はどう違うの?水素は気候変動対策で有用と言われるけど、なぜ高炉で水素を使うのは「悪い」の?
今日の鉄鋼業界は、脱炭素化の難しさを主張していますが、どの情報に確かな根拠があり、どの発言が後ろ向きな視点に立っているのかを見極めることが重要です。
スティールウォッチ「わかる鉄と脱炭素」シリーズは、複雑に絡み合った問題を整理し、業界で広く語られる主張を正確に検証することで、鉄鋼業界の脱炭素化を推進することを目的としています。
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脱原料炭リスト 日本企業のCO2排出増加への関与を示す
(2025年1月23日、東京)原料炭を使用した鉄鋼業界への融資を続ける金融機関等に、ますます厳しい目が向けられている。新たに発表された調査によると、18か国で160社が252件の原料炭鉱拡張プロジェクトを進めている。これらのプロジェクトが全て実現すれば、年間5億5100万tの原料炭がさらに生産されることになる。これに伴い、年間9億7600万tのCO2が追加で排出され、原料炭生産量とCO2排出量がともに50%増加する見込みとなる[1]。
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ホワイトハウスによる日本製鉄のUSスチール買収阻止、スティールウォッチコメント
日本製鉄は気候に悪影響を及ぼす取引を提案していた。この取引が頓挫した今、世界第4位の鉄鋼メーカーとして、戦略を見直す時を迎えている。
スティールウォッチ:鉄鋼業界の変革を求める監視の声
私たちは世界の鉄鋼産業に対し、住みよい地球のため、速やかに適正な貢献をするように要求するとともに、この業界に責任を持たせるべく市民社会を支援します。
鉄鋼業界が野心的な目標を持ち、説明責任を果たすよう促す
私たちは迅速かつ大規模な排出量削減を強く求め、段階的な進捗で十分だという説明に異議を唱えます。 必要なことと、今起きていることとのギャップに光を当てます。
世界的なアドボカシーを強化する
私たちは、透明性があり公正で、排出ゼロの鉄鋼業界を目指すキャンペーンを、各国企業に対して展開する動きを支援し、つなげ、強化します。
企業に行動を促すキャンペーンを行う
私たちは鉄鋼企業を注意深く監視し、積極的に声を上げて鉄鋼企業に働きかけ、責任を問い、各企業、各工場に実行を伴う変化を求めていきます。
最新の解説
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日本製鉄は気候に悪影響を及ぼす取引を提案していた。この取引が頓挫した今、世界第4位の鉄鋼メーカーとして、戦略を見直す時を迎えている。
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日本において「グリーン」な鉄鋼製品の市場を推進するには、買い手が低炭素製品に対価を支払うという意思を示すことが一つの重要要素として挙げられる。日本政府は、主要な鉄鋼の買い手として、グリーン購入を通じて、市場形成を促し、低炭素技術への投資を後押しすることができる。
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2024年も終わりに近づく中、鉄鋼業界の脱炭素化に対する楽観的な見方は薄れつつあるように感じられる。気候危機の影響が加速する中、排出量は依然として減らず、業界内の議論は気候変動対策よりも貿易保護対策に重きが置かれ、各国政府や企業の脱炭素化への野心は揺らぎ始めている。しかし、一歩引いて全体を見渡せば、暗い話ばかりではなく、2024年は、転換点を迎えた年だとも言える。現状に生じた亀裂が否定できないものになりつつある。
最新
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日本製鉄は「Super COURSE50」というブランドを掲げ、高炉への加熱水素吹込みと炭素回収を組み合わせることで、製鉄所からのCO2排出を削減し、気候変動対策を実施しているとしている。
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世界第4位の鉄鋼会社である日本製鉄は、石炭を原料とする製鉄への依存のため、気候変動対策で国際基準を満たせず、競合他社にも遅れをとっていることが明らかになった。
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本報告書は、鉄鋼生産における石炭利用の中止を呼びかけます。 石炭を使用した鉄鋼生産がいかに甚大で危険な温室効果ガス排出を引き起こしているかを示し、鉄鋼業の投資と生産について、石炭から転換する絶好の機会を提示します。 …