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石炭生産拡大を支援する世界の銀行上位5行のうち4行を日本の銀行が独占

· 東京, 日本

三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスなど日本の銀行は、中国国外で鉄鋼生産用の原料炭プロジェクトを開発している大手企業50社に660億米ドル以上を提供していることがわかりました。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスなど日本の銀行は、中国国外で鉄鋼生産用の原料炭プロジェクトを開発している大手企業50社に660億米ドル以上を提供していることがわかりました。

リクレイム・ファイナンス (Reclaim Finance) の新しいレポート『原料炭への融資、いま中止すべき』は、日本が世界でもトップクラスの国として、高汚染部門の拡大に今もなお資金を提供していることを明らかにしました。(1) 原料炭生産を拡大する世界の銀行トップ5行のうち4行を日本の銀行が占めています。 また、日本の銀行は2016年1月から2023年6月の間、石炭供給を開発する企業への世界の銀行支援のうち、29%を提供しています(中国を除く)。

さらに、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村ホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングスを含む日本の投資家は、2023年6月の時点で、原料炭開発企業に250億米ドルを投資しています。 これは、世界の上位50の原料炭開発企業への投資において、16%を提供したことを意味します。

製鉄における原料炭の使用は、産業において世界最大の二酸化炭素(CO2)排出源となっています。 鉄鋼業は、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の約7%、世界のCO2排出量の11%を占めています(2)。 代替策を開発しながら原料炭の拡大を止めるには、金融機関の積極的な関与が必要です。

鉄鋼を脱炭素化する解決策は存在し、新技術への移行は進行中です。 銀行や投資家は、クリーンな解決策を支援し、石炭を利用した古いプロセスを避けることにより、移行を促進することができます。 現在、原料炭への最大の投資家の一つである日本の銀行を含む金融機関は、いかなる拡大にも融資しない政策を早急に採用しなければなりません。 石炭を主原料とする鉄鋼への投資は、気候変動の火種を煽っているに過ぎません」と、リクレイム・ファイナンスの産業キャンペーン担当、シンシア・ロカモラは話します。(3) (3)

国際エネルギー機関(IEA)は、コークス用炭(原料炭)の需要が「2050年までの需要は既存の生産源で十分まかなえる」ため減少すると予想しています。(4) それにもかかわらず、銀行は石炭生産能力合計406Mtpa(百万トン/年)の、世界118社による不要な新規プロジェクトに対し、進んで資金を提供しているようです。

鉄鋼の製造に原料炭を使用することは気候にとって壊滅的であり液体鉄鋼1トンあたり2.3トンのCO2を排出します。(5) 残念ながら、日本の銀行、投資家、保険会社が、汚染されたビジネスのグローバル・リーダーであることは明らかです。 彼らは、鉄鋼業における石炭使用を長引かせ、気候変動を悪化させると同時に、鉄鋼業がクリーンな鉄鋼に転換する際に、これらの炭鉱が座礁資産となるため、莫大な財務リスクを負っています。 日本の金融機関は、方針転換して原料炭から撤退するか、バランスシートと地球の両方に莫大な負債を負わせるかの選択を迫られているのです」と、スティールウォッチのディレクター、キャロライン・アシュレイは述べています。

報告書へのリンク :https://reclaimfinance.org/site/wp-content/uploads/2024/03/Reclaim_Finance_Metallurgical_Coal_November_2023_JPNfinal-1.pdf

メディア問い合わせ先:

松本志織、スティールウォッチ広報(日本)
[email protected]+81 70 8411 0256

Cynthia Rocamora, Industry Campaigner, Reclaim Finance (France)
[email protected] +33 7 81 33 61 60

Helen Burley, International Media Relations, Reclaim Finance (UK)

[email protected] +44 7703 731923

  1. リクレイム・ファイナンス,原料炭への融資、いま中止すべき、2024年3月。 本レポートは、中国企業を除き、計画されている原料炭生産能力が最大の50社に対する財政支援を分析したものである。
  2. Global Efficiency Intelligence, Steel Climate Impact: An International Benchmarking of Energy and CO2 Intensities, April 2022 & SteelWatch, Sunsetting Coal in Steel Production, June 2023.
  3. リクレイム・ファイナンス(Reclaim Finance)は非政府の研究・キャンペーン組織。 2020年にゴールドマン環境賞を受賞したルーシー・ピンソン(Lucie Pinson)により、金融を気候変動に役立てることを目的に、2020年3月に設立された。 ホームページ:https://reclaimfinance.org/site/en/home/
  4. IEA, Net Zero by 2050, October 2021.
  5. SteelWatch, Sunsetting Coal in Steel Production, June 2023.

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