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日本製鉄、米国で葛藤「一歩前進、二歩後進」

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Gary Works, Indiana, US
Gary Works, Indiana, US. credit: Mighty Earth / Brandon Clair

日本製鉄はUSスチール買収にともない、米国アーカンソー州ビッグリバー製鉄所において、既存の電炉への原料供給を目的とした新たな直接還元製鉄(DRI)事業に19億米ドルを投じると発表した。巨額の投資計画の中でも、今回の発表は前向きな進展として評価できる。

日本製鉄はUSスチール買収にともない、米国アーカンソー州ビッグリバー製鉄所において、既存の電炉への原料供給を目的とした新たな直接還元製鉄(DRI)事業に19億米ドルを投じると発表した。巨額の投資計画の中でも、今回の発表は前向きな進展として評価できる。

一方で、真の「脱炭素への移行」とは呼ぶには不十分な点もある。還元材として化石ガスを使用予定であり、グリーン水素への移行方針も示されていないためだ。

さらに、今回の計画を日本製鉄がこれまで発表したその他の投資計画とあわせて見ると、違った側面が見えてくる。インディアナ州ゲーリー製鉄所への31億米ドルの投資は、そのうち3億5000万米ドルが第14高炉のリライニング改修に充てられることになっている。同施設は米国でも有数の汚染源であり、同製鉄所が保有する高炉が90%の稼働率でさらに20年間操業を続けた場合、その延長期間中に累計1億トンを超えるCO2を排出すると推定されている。

インディアナ大学環境レジリエンス研究所と5 Lakes Energyは、インディアナ州北西部の製鉄所を近代的な製鋼技術へ移行させるためのいくつかの現実的な道筋を提示している。それによると、部分的な設備転換に必要な投資額は1カ所あたり約15億~22億米ドル、全面的な転換でも28億~36億米ドルと試算される。これは今までに発表されたの設備投資規模から見ても、十分に実現可能な範囲である。また、この設備転換によって年間7500万米ドルの医療費削減に加え、毎年数百件の呼吸器疾患による救急外来受診と、数万日規模の労働日および就学日の損失を回避できると見込まれている。

Tゲーリー製鉄所におけるクリーンな生産技術への投資により、日本製鉄は推定5万9000人の新規雇用を創出すると同時に、同製鉄所の製鉄工程における排出量を年間410万t削減できる見込みだ。さらに、石炭高炉からグリーン水素を利用した低排出技術へ移行することで、周辺地域における発がん性大気汚染物質を半減させることも可能である。

しかし、第14高炉のリライニング改修の決定により、地域社会は衰退の一途をたどり、深刻な健康被害が続くことになる一方、ルイジアナ州といった米国南部では次世代のクリーン技術が導入されつつある。

ゲーリー製鉄所で石炭利用を継続するという選択は、残念ながら、日本製鉄がこれまで進めてきた石炭依存の維持・拡大につながる意思決定と一致する。それに伴う問題や地域の衰退が生じるなか、日本製鉄は地域社会の将来よりも、既存設備から得られる利益を優先している、とインディアナ州の人々が疑念を抱くのも無理はないだろう。

日本製鉄は、より良い決断を下さなければならない。それは、ゲーリー製鉄所に割り当てられた31億米ドルの一部をDRIへの転換に充て、インディアナ州北西部の人々がよりクリーンで未来に適応した産業への希望を持てるようにすることだ。加えて、同社自らが掲げる「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」として責任ある姿勢を示すためにも、グローバル事業全体で石炭からの脱却に向けた明確な移行計画を示す必要がある。

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