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SteelWatch
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6月18日、日本製鉄による米国鉄鋼大手USスチール社の買収が正式に完了した。約149億米ドル(約2兆円)にのぼる買収提案は、国家安全保障をめぐる1年半に及ぶ政治的議論の末に承認された。注目されるのは、この買収額に加えて、日本製鉄が発表した140億米ドル規模の設備投資という巨額な投資額だ。しかし、より重要な問いは、この投資額を何にどう振り分けるのかという点だ。脱炭素と海外展開の両立を図る転機となるか、それとも従来の石炭依存路線を引き継ぐのか。その選択が、今まさに問われている。
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日本製鉄は今、大きな転換点に立たされている。資源に乏しい日本を本拠地としながらも、世界第4位の鉄鋼メーカーにまで成長し、現在では北米、インド、欧州、豪州へと事業拡大を進めている。しかし、その企業戦略の背景には「高炉中心」「国内中心」の方針が依然として色濃く残る。
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グリーンアイアンにおける重要な論点とは? 従来、製鉄工程(ironmaking)と製鋼工程(steelmaking)は「一貫製鉄所」に代表されるように同一敷地内で連続的に行われてきた。しかし、脱炭素化と再生可能エネルギー(再エネ)を基盤とする経済への移行が進む中で、鉄源の生産方法や生産地は大きな変革の時を迎えている。
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原料炭における重要な論点とは? 「原料炭」は、鉄鋼の生産過程で使用される石炭を指す。特に、高炉での製鉄にはこの原料炭が用いられており、鉄鋼業界における温室効果ガス(GHG)排出量の主要な要因となっている。 一般社会において、原料炭の認知後は低く、専門家以外にはほとんど知られていない。また、その定義も様々で、分かりにくいのが現状である。
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オーストラリア・西オーストラリア州は、投資誘致基金「Investment Attraction Fund」の一環として、脱炭素関連の鉱業プロジェクト3件に対し、総額3400万豪ドル(約32億円)の助成金を給付すると発表した。
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(東京、日本)本日発表されたリード・ザ・チャージ(Lead the Charge)の第3回年次「自動車産業の環境・人権への影響評価ランキング(リーダーボード)」において、トヨタ、日産自動車、本田技研工業(Honda)は、18のグローバル自動車メーカーの中で特に進展が遅れていることが明らかとなった。
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(2025年1月23日、東京)原料炭を使用した鉄鋼業界への融資を続ける金融機関等に、ますます厳しい目が向けられている。新たに発表された調査によると、18か国で160社が252件の原料炭鉱拡張プロジェクトを進めている。これらのプロジェクトが全て実現すれば、年間5億5100万tの原料炭がさらに生産されることになる。これに伴い、年間9億7600万tのCO2が追加で排出され、原料炭生産量とCO2排出量がともに50%増加する見込みとなる[1]。
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鉄鋼と気候における重要な論点とは? 鉄鋼は、硬く強く光沢がある金属で、現代社会に欠かせない素材である。現代のインフラや経済の基盤を支え、風力タービンや太陽光パネル、電気自動車、環境に配慮した建物など、持続可能な未来に向けた「グリーン移行」において重要な役割を担っている。
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鉄鋼の品質要件における重要な論点とは? 自動車産業の品質基準を満たすためには、石炭を使用する高炉で生産された鉄鋼が必要だという根強い定説がある。気候変動対策として、鉄鋼業界に環境負荷の少ない生産方法への移行が求められている今、この定説が高炉での生産を続ける理由として主張されてきた。