日本製鉄の気候変動対策への株主提案、スティールウォッチ声明
2024年6月26日更新(東京、2024年6月24日)世界第4位の鉄鋼会社である日本製鉄は、21日に開催された定時株主総会で、投資家から気候変動対策の改革を求める3つの提案を突きつけられ、同社の不十分な計画に対し圧力が増していることが明らかになった。
2024年6月26日更新(東京、2024年6月24日)世界第4位の鉄鋼会社である日本製鉄は、21日に開催された定時株主総会で、投資家から気候変動対策の改革を求める3つの提案を突きつけられ、同社の不十分な計画に対し圧力が増していることが明らかになった。
同社の気候変動対策目標は1.5℃の達成にはほど遠く、その計画は、たとえ完全に実施されたとしても、必要な排出削減ができない技術に依存している。
株主総会において上記3つの提案は否決されたが、オーストラリア企業責任センター(Australasian Centre for Corporate Responsibility: ACCR) の発表によると、欧州のアムンディ、ノルデア・アセット・マネジメント、ノルウェーのストアブランド・アセットマネジメントを含む日本製鉄の投資家は、本提案を支持した。 ACCRは「これらの株主提案への支持は、日本製鉄がグリーン・スチールへの転換の機会を捉えるためより大きな野心を持つ、という投資家の望みを反映している」と述べた。
日本製鉄が発表した株主提案の結果は以下の通り。
- 議案6 (気候目標)、賛成 21.48%
- 議案7 (報酬と温室効果ガス削減目標)、賛成 23.01%
- 議案8(気候変動に関するロビー活動)、賛成 27.98%
これらの結果は株主からの強力な支持を示している。
スティールウォッチの代表を務めるキャロライン・アシュレイは、「日本製鉄に対し、世間から厳しい視線が向けられ始めている。 同社は脱炭素化、水素、未来技術といった立派な表現を使うが、その言葉がいかに意味をなさないかという現実が、ようやく世間に理解されつつある。 日本製鉄が米国からインドまでグローバルに事業を拡大するにつれ、監視の目はまずます厳しくなるだろう。 急速な脱炭素化が進む中で、投資家が鉄鋼メーカーに対し、気候変動対策の不十分さや遅れが企業の競争力に与えるリスクについて、世界的にますます疑問の声をあげるようになっている」と述べている。
日本製鉄の気候変動対策への遅れに関するこの議論は、ドイツのティッセンクルップ、スウェーデンのSSABが、ともにSBTイニシアティブにより、1.5℃に沿った気候変動計画を策定し、世界的なベストプラクティスの水準向上を評価されたのと同時期に行われた。
今からでも遅くはない。スティールウォッチは日本製鉄に対し、多くの投資家によるこの呼びかけに耳を傾け、変革的な改革を行い、ビジネスモデルを住みよい地球環境に適合させるよう求める。
スティールウォッチからの提言は、以下の通りである。
- 1.5℃シナリオに沿った、科学的根拠に基づき検証された排出削減目標を設定し、確実に達成するための暫定目標を含む計画を直ちに策定すること。
- COURSE50、Super COURSE50、炭素回収など、化石燃料を原料とする製鉄を長引かせる不十分な技術の研究開発を終了すること。
- 排出ゼロに近いグリーン鉄や鉄鋼スクラップを原料とする再生可能エネルギーによる電炉への世界的なシフトを伴う、変革的なグリーン技術への投資に焦点を当てること。
- 2026年4月までに詳細な移行計画を提示し、既存の全ての化石燃料を原料とする設備と技術を、排出ゼロに近い製鉄に置き換えること。
- 遅くとも2040年までに石炭を原料とする製鉄を終了し、高炉の再稼働は行わず、投資サイクルに沿って世界的に段階的に廃止すること。
- 原料炭および一般炭の石炭採掘への新たな投資や拡張を行わず、遅くとも2040年までに、石炭採掘への全ての所有権および投資を段階的に廃止すること。
日本製鉄の気候変動対策に関する挑戦と改善策については、スティールウォッチの最新報告書『あまりに遅く、不十分:日本製鉄の気候変動対策の検証 2024』を参照のこと。
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